2014年11月17日

ヒストリー・オブ・バイオレンス


「・・・・」





「・・・・」





「・・・怖かったねえ〜〜〜」





「・・・怖かったねええ〜〜〜」





「ほんっと
怖かった・・・・」





「この後味!!!」





「・・・・」





「・・・・」





「なんかさ」





「うん」





「聞いた話しだけど」





「うんうん」





「今、戦闘機のコックピットって

まるっきり
ゲーム器化されているんだってね」




「ああ、それ
あたしも聞いたことある〜。



なんか
爆撃するそのスイッチ
本当にゲームのパネルスイッチみたいになってるから
ためらいなく押せるんだって」





「空の高い所から打つんだしさ
人間なんて
豆粒みたいにしか見えないじゃない?



そうなると
打たれた方の
痛みとかそういうの
すっごく遠いよね


どこまでもゲーム感覚っていうかさ」




「ほら
やっぱ地上戦とかで
対人間でやってると
本国に帰還しても
精神的にきついっていうのあるじゃない。

それは
痛みが身近にあるからだよね、きっと。


でもさ
対相手が遠いところにあると



リアルじゃないとさあ

人間はどこまでも非情になれたりするんじゃないかしら。」





「う〜〜〜〜〜〜ん」




「う〜〜〜〜〜〜〜〜ん」





「最近さあ
日本も隣国とごちゃついていて」





「あれはさあ
やっぱり
日本の政治がさあ
くっちゃらくっちゃらやっている
から
相手がこっちをなめて
大手を振ってつけこんできたって部分が大きいような気がする」




「そうよねえ
ここに至っても
相変わらずどこまでも
政局絡みの話しばっかでねえ」



「でも」


「でも」




「そういうことはさておき」





「さておき」





「なんか勇ましく
掛け声かける人っているじゃん?」





「ああ、なんか
力をもって筋を通せ!的にね」





「そうそう。


いざとなれば
俺も、的なさ」





「・・・・」





「・・・・」





「そういう人に
人たちに

観て欲しい。
このヒストリー・オブ・バイオレンス

「怖さ」を知ってほしいわ





「あのさ」





「何よ」





クローネンバーグ先生が
さすがだと思うのは



「暴力」が
ダメですな〜んて
初手から
大上段に
言っている訳じゃないのよね。
啓蒙している訳でもないの。」



「そうそう。
「暴力なんていけないに決まっている」って
道徳の授業的に打ち出している訳じゃ
全く、ない。」




「むしろ
そうじゃなくて・・・」




「誰の中にもある
「力」への憧れ
賞賛する気持ちを
えぐってみせた上でってことよね。





「主人公のトム・ストール

良き隣人


良き父親



良き夫をやっている穏やかな男。」





「うん。



でも
彼には過去がある。」





「そうなの。



ある日
トムが自分の店で
鮮やかに



あまりに鮮やかに
強盗を撃退したことから


過去から
追っ手がやってくる。」





「それも半端じゃない過去」





「その現れ方が
また、怖い」





「そう。



過去からの使者



エドハリス


演じる
片目の男は
冷静で
慇懃無礼」




「なぜ彼は
トム・ストールに執着するのか」




「過去の「力」のツケを払ってくれと
言わんばかりに」





「そう。


現在の彼の周りにいる人間


特に家族は
過去の彼を知らず
「お前は
トム・ストールなんかじゃない。


ジョーイ・キューザックだ」っていう
追っ手の話に
「人違いだ」っていう
トムの弁明
最初は信じ
受け入れるのだけれども」


「段々そうでないらしいことが
わかってくる」



「そして
トム自身も
今の自分を守ろうとしながら



以前の記憶


ジョーイ・キューザックとして生きた



絶対的な暴力の優れた使い手であった自分を
取り戻していってしまうの」





目が違うのよね



「そう。


トムの時は穏やかな
優しい視線なのにさ」





「ジョーイにかえっていくにつれ


段々
目の周りが凹んで
死神みたいな人相になるのよ!」





ヴィゴ・モーテンセン



クローネンバーグ先生と
相性いいよね」





「うん
イースタンプロミス
以前王国でご紹介したけど
良かったもんねえ〜





「なんせ
危ないKISS写真を撮らせちゃう位

クローネンバーグ先生
役者としての
ヴィゴに入れ込んでいらっしゃる」



「うふふふふ
役者としてだけかしらん??」





「それでさ
暴力的な過去が明らかにされて
妻は
そんな彼を素直に受け入れることができなくなってくるのよね」





「あのシーン!!!」





「そう、あの階段での
SEXシーン!





あれ、私が今まで観てきたSEXシーンの中で
一番「怖い」SEXシーン
だったわ」





「自分を受け入れられない様子の妻を
思わず乱暴に扱ってしまうトム」




トムは紛れもなくジョーイであることを


一瞬にして見せる
クローネンバーグ」






「で、ある瞬間に
妻にスイッチが入ってしまう」





「妻が求めているのは

以前の穏やかなトムなんだけれど

絶対的な力を振りかざす
トムの顔をしたジョーイに
野性的に応えてしまう
のね」





「うん」




「それでも
最終的に
振り切るんだけど」



「あのスイッチの入り方がさ」



「そう
男と女で
男が絶対的な力の優位性を示した時
あれほど
理性的な女でもさ」





「ねえ」





「ねえ・・・」





男女間では
理性では片付けられない
なんというか



絶対的な力に対したときの感情
反応って
言葉で説明するのは
とても難しい
部分があるじゃない??」





「うん。
それはひょっとすると
男女間のことだけじゃないかも、だわよね。





クローネンバーグ先生
そこを見事に描いているんだけど





見事すぎて
私は怖くてさ。





そこからの



彼女の中の地獄を思うと」





「自分の中の
力を肯定してしまった部分が、ね。
彼女の中の野生も
もう、無視はできないものね」





「でも、「力」を初手から
肯定なんてこともできないし」




「自分が今まで礎にしてきた
「理性」をどう扱えばいいのか」



「それに息子!」





「優しいいい子よね」





「ちょっとゲイ志向かな」





「虐められているのよね」





「うん。


理性で
ずっとはぐらかしているけれど
突っかかってくる相手は
とっても執拗」





「ここら辺
父親の状況とだぶるのよ」





「そう。」



「だけど」





「そう」





「あの子も力を抱え込んでいる」





「で、虐める相手に反撃するんだけど」





「しちゃうのよね」





「見事に。」





「見事すぎるほどの形で」





「血」





「血なのかしら」





「ここも
繰り返すけれど
怖かったわ〜〜」





「でさ、
その「血」って





母親の「無意識」の中にある
「力への肯定」





野生的な肯定が
父親の「圧倒的な力に対する信頼」に加えられて
紡がれているんだとしたら・・・
それが
「血」に凝縮されているんだとしたら・・・」





「こ、怖い!!」





「だよね。


無意識っていってもさ」





「どっかで明らかになっちゃうしね」





「うん
力に対する賞賛っていうかさ」





「そういう気持ち、ね」



「うん。



観ている私たちはさ



今まで虐げられていた人間が
力で反逆すれば



やっぱり



すーっとするのよ





「うんうん」





「その力を
見事に行使していればいるほど」





「すっとするよね」





「喝采を送ってしまう」





「うん」





「でも
その後に」





「なんとも言えない」





「怖さ」





「怖さがくるのよね」





クローネンバーグ先生の痛みは心と体にクル。
階段でのSEXシーンは「怖い」。
ヴィゴの目がどんどん落ち窪んで
骸骨化していくのも怖い。
で、この「怖さ」をどう消化しようかと
観客は向き合わざるを得ない。
暴力に。





・・・って風に
私はまとめたんだけど。 」





「きっとさ
「暴力」ではなく
「力」ならいいんじゃないか?って人も
出てくると思うけれども」





「「力」は使い方次第なんじゃないかって」





「それは
ある意味私の中でも
そうねえって思ったりする部分あるんだけどさ」





「けど」





「この作品観てから
ちょっと「自信」もてないなあって思っちゃって」





「コントロール力ね」




理性って
どこまでコントロールのキーとして作用するのか




「う〜〜〜ん」



「で、
じゃあ
「力」ナッシング
「力」オール否定で生きていけるかっていうと」



「降りかかる火の粉ってことだってあるし」




「・・・どうする??」





「・・・どうしよう」




「「力」を駆使すれば」







「喪うものがある」







「そこを「判って」駆使できるかっていうと」




「・・・・う〜〜〜ん」




「とにかく
自信なき人は」





「自信ある人も」





「観るべきよね」





「久しぶりに
私は



怖い映画を観たわ」





「あのあと
妻はどうしたのかしら」





「・・・」





「・・・」





「貴方はどうしたと思う??」





「彼を



というより





「力」を受け入れた?」





「退けた???」





「う〜〜〜〜〜ん」





「怖い」





「怖い映画よ〜」




「クローネンバーグ先生は
インタビューで


自らの暴力の歴史のために
暴力から逃れられない主人公トムは
アメリカを象徴しているのでしょうか?
」と聞かれて



「アメリカに限らないよ。
暴力の歴史を持っていない国なんて存在しないんだから。


ただ、私はこの映画のラストで問いかけてみた。


善良な町に住む善良な家族であろうと、
実際は誰かの血によって、暴力によって守られている。
それはしかたがないことなのか?と

と答えているわ。」





「今こそ!」





「観て!!!!」


「そうそう
マフィアの兄役やった
ウイリアム・ハート





「久しぶりだったけど」





「さすがだった!」





「そこらへんも
ぜひ!」





「ぜひ!!!」






posted by kazoo at 14:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(は) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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