2014年08月17日

声はかけられなかったんだ

「その人」は
だらだら坂の
底の方から



ゆっくりゆっくり



歩いて登ってきた。




 

美しい





わたくしは



思った。



01ab



セルリアンブルーの
手編みらしき
チョッキを身につけた



「その人」は



なんだか
空を切り取って



身につけている



そんな風にさえ



見えた。






そのころ



わたくしは



TOKIOという街を


歩き回るのが



好きで



意味もなく



そして
あてもなく



ただ



ただ



行きかう
人や



佇む人を見ながら



徘徊していた。





「その人」と



出逢ったのは



そんな時期で



あれは



青山墓地の
近くだったか。






段々近づいてくる



「その人」に気付いて



そうして



次の瞬間



ハッと息を飲んで



そうして



そうして



声をかけたいと



かけて、一言でも



話をしたいと



思ったのだけれども



でも



わたくしは



固まったまま



ただ



ただ



「その人」が



自分の横を



通り過ぎるのを



待つばかりだった。






「オーラ」という言葉を





人は簡単に



口にするけれど



今でも



あの時の



「その人」のオーラの凄さを



わたくしは



この季節の空の色で



ふと



思い出したり



するのだよ。





恐らく



声をかければ



握手の一つも出来ただろう。



にこやかに



笑っても下さったかもしれない。



けれど



声は・・・






声は



かけられなかったんだ。



声をかけては



いけない



そんな気がした。



少し
左右に
揺れながら



ゆっくり



ゆっくりと



歩いていく



「その人」の後姿を見ながら



「ああ、わたくしは



このシーンを



忘れないだろうな」



って



確かに



その時



思ってもいたんだったよ。





美しい佇まいだった



「その人」








その名前を



鈴木清順という。




ラベル:鈴木清順
posted by kazoo at 14:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画周辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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